「中原の虹」浅田次郎

中原の虹(全4巻セット)

中原の虹(全4巻セット)

正義に理屈はない。勝敗も利害もない。おのれを生み育んだ風や大地を愛し、常にともにあること、それが正義だ。

7/100

「カラスのジョンソン」明川哲也

カラスのジョンソン

カラスのジョンソン

「消滅」
不安定の根源にあるものをジョンソンは訴える。
すると緑光はいっそう強い瞳の光を放つ。
「誕生」
翼が重なるのはそれからだった。

ナクナ。
ナクナ、ナクナ、ナクナ。
マモッテヤルカラ。

「鯨の王」藤崎慎吾

鯨の王

鯨の王

「ああ、どうなんだろうな。しかし、やってくれれば俺としてはありがたい。ぜひやるべきだ。何百メートルの深海にまで、人間がうろちょろする必要はないよ。こんなに暗くて寒くて息苦しい場所くらいは、せめて他の生き物たちだけのために残しておいてもらいたいもんだ」
「そう言う私たちも、こうしてうろちょろしてますけど」
「確かに」須藤は苦笑した。「じゃあ早いところクジラと仲直りして、海上へ戻ろう」
ホノカはうなずいた。
「そうですね」
「……初めて意見が合ったな」

「悶絶スパイラル」三浦しをん

悶絶スパイラル

悶絶スパイラル

うーん、すごい。Uさんの長大にして細部まで異様にフォーカスされた脳内映像を聞くにつけ、楽しい気持ちになってくるのだった。いついかなるときも、前向きに発揮される想像力。たった三分を、明るく彩られた至上の三時間に変換する才能。すばらしい。
「これこそが、なんてことない日常を豊かにする秘訣かもしれませんね」
と私は言った。
「そうですよ!」
とUさんは言った。「ていうか、そうでも思ってないと、私たちは想像力の無駄弾を撃ちまくってるだけ、ってことになっちゃいますからね。(略)」

私の感想

「サクリファイス」近藤史恵

サクリファイス

サクリファイス

ぼくの勝利は、ぼくだけのものではない。

「ぽろぽろドール」豊島ミホ

ぽろぽろドール

ぽろぽろドール

わたしはまだほんの十五で、これから先、たのしいことなんていくらでも待っているんだと思う。けれど考えてしまうのだ、この世の何が、秘密の人形に勝るだろうと。
いじましい瞳から滑り落ちるなまあたたかい雫、わたしのための、惜しみない涙。
わたしは今日も、帰ったら真っ先にあの人形をぶって泣かす。それが何より気持ちのいい遊びなのだ。

坪内君のミカは、処分されてしまっただろう。わたしももう、二度と彼に会わない。彼は永遠にミカをうしない、わたしに触れなかったことを後悔するのだ。

「私、運命が欲しい」
―巻き込まれたい。前も後ろもわからないくらいに。

私の感想