「ぽろぽろドール」豊島ミホ

ぽろぽろドール

ぽろぽろドール

わたしはまだほんの十五で、これから先、たのしいことなんていくらでも待っているんだと思う。けれど考えてしまうのだ、この世の何が、秘密の人形に勝るだろうと。
いじましい瞳から滑り落ちるなまあたたかい雫、わたしのための、惜しみない涙。
わたしは今日も、帰ったら真っ先にあの人形をぶって泣かす。それが何より気持ちのいい遊びなのだ。

坪内君のミカは、処分されてしまっただろう。わたしももう、二度と彼に会わない。彼は永遠にミカをうしない、わたしに触れなかったことを後悔するのだ。

「私、運命が欲しい」
―巻き込まれたい。前も後ろもわからないくらいに。

私の感想